平成27年 公認会計士 試験 論文式試験解答

平成27年 公認会計士試験 論文式試験解答 監査論

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監査論

第1問

問題1

 四半期レビューにおける結論としては財務諸表には全体として重要な虚偽表示がないことについての合理的な保証を得ることが目的なのではなく、適正表示に関する消極的結論の表明が目的となる。
 したがって、設問中の四半期レビューの表現による結論においては、その意味は信頼性の保証水準が表現を置き換える前と比較した場合、限定的なものとなりその保証水準も低いものとなっている。

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問題2

監査証拠の十分性:監査証拠の十分性とは、監査要点の立証に必要な十分な量の監査証拠の入手を求めるという監査証拠の量的要件をいう。

監査証拠の適切性との関係:監査証拠の適切性と相互に関連しあっており、監査証拠の質によって影響を受ける。すなわち質が高ければ少ない監査証拠ですむ関係性である。

重要な虚偽表示リスクとの関係:監査証拠の十分性は虚偽リスクの程度によって影響を受ける関係である。すなわち評価したリスクの程度が高いほどより多くの監査証拠が要求される関係である。

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問題3
問1

記号:A
 監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて全体としての財務諸表に重要な虚偽表示があるかどうか判断した結果、経営者が受け入れられなかった売上高及びそれに対応する売上原価と売掛金に及ぼす影響に重要性は認められなかったことから、重要な虚偽表示ではないと判断し無限定適正意見とした。

問2

記号:F
 違法な取引を原因とした売上高は計上されているものの、これらの取引および課徴金の支払の内容は適正に注記されているため、財務諸表に重要な虚偽表示はないといえる。よって無限定適正意見が表明されることになるが、加えてこの注記は投資者等に注意を喚起する必要があるため、追記が行われることになる。

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問題4

適正性に関する監査意見の判断の内容:適正性に関する意見の表明にあたっては監査人は経営者が採用した会計方針が会計の基準に準拠し、それが継続的に適用されているかどうか、その会計方針の選択や適用方法が会計事象や取引の実態を適切に反映するものであるかどうかに加え、財務諸表における表示が利用者に理解されるために適切であるかどうかについて判断しなければならない。

準拠性に関する監査意見との違い:準拠性に関する意見については、財務諸表における表示が利用者に理解されるために適切であるかどうかの判断においては、財務諸表は表示のルールに準拠しているかどうかの判断のみで足りる。それに対して、適正性意見に関する監査意見の場合、これだけではなく、財務諸表が全体として適切に表示されているかについての判断も含まれていることが異なる。

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第2問

問題1

 監査人は監査計画策定時に重要性の基準値を決定するが、これは(1)リスク評価手続の種類、時期及び範囲の決定、(2)重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び(3)リスク対応手続の種類、時期及び範囲の決定を実施するための基礎とするためである。
 監査人は、通常重要性の基準値を決定する際には、自らの職業的専門家としての判断のもと、金額的重要性やこれに加えて過年度や期中の実績、また当年度の予算等を総合的に考慮し、最初に指標を選択し、その指標に対して特定の割合を決定することになる。
 そしてこの指標に、適用する割合を適用することにより、重要性の基準値を決定することになるのである。

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問題2

 監査人は重要性の基準値について当初決定した金額よりも小さくすることが適当であると決定した場所には、手続実施上の重要性を改訂する必要があるが、さらに、リスク対応手続きの種類、時期及び範囲が適切であるかどうかを判断しなくてはならない。
 しかしMⅰを維持した場合には、財務諸表項目レベルでの重要性の判断を誤りやすくなることになり、ひいてはその結果財務諸表全体レベルにおいて、誤った意見を形成する可能性が高まってしまう、という大きな問題点があると考えらえる。

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問題3

 監査人が許容範囲を使用するのが適切であると判断した場合には利用可能な監査証拠に基づいて、許容範囲のすべての結果が合理的であると考えられるまで許容範囲を絞り込む必要がある。しかし、許容範囲が手続実施上の重要性と同額か、それより少額にまで絞り込まれていなければ経営者の見積額の合理性を評価するにあたって適切ではない、という問題点があるといえる。

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問題4

理由1
 特定の財務諸表項目において発見した虚偽表示が重要性の基準値を超えていない場合であっても、この超過額が質的に重要であると判断される場合はこの虚偽表示は重要な虚偽表示と考えることができる。このため、ただちにこの超過額が重要な虚偽表示には該当しないと判断することは妥当ではないといえる。

理由2
 特定の財務諸表項目において発見した虚偽表示が重要性の基準値を超えていない場合であっても、他の会計上の見積りに関して監査人が発見した虚偽表示を全て集計するとその合計額が重要性も基準値を超える場合も考えられるため、ただちにこの超過額が重要な虚偽示には該当しないと判断することは妥当ではないといえる。

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上記解答について

※上記解答は独自に作成されたものであり、「公認会計士・監査審査会」が公式に発表したものではございません。ご理解のうえ、ご利用下さい。

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