平成29年 公認会計士 試験 論文式試験解答

平成29年 公認会計士試験 論文式試験解答 監査論

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 なお、この解答はクレアール会計士講座が独自に作成したものになります。

監査論

第1問

問題1

 企業活動の国際化・多角化及び連結対象会社の増加により監査範囲は拡大し、また財務諸表は複雑化・高度化しており、会計及び監査以外の専門的知識が必要となる場合があることから、監査を効果的かつ効率的に実施するため、主たる監査人以外の他の監査人等の業務を利用することが必要になる場合がある、
 これら他の監査人等を利用する場合におけるその前提条件および監査に関わる責任は、主たる監査人がすべて負うものであるといった旨の責任分担関係を明確化するとともに、かつ他の監査人等を利用したことを利害関係者に伝達することを目的として、このような規定が置かれている

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問題2
問1

 他の監査人の監査結果を利用するかどうかは主たる監査人の専門的判断でありまた、他の監査人の品質に問題がある場合に、当該他の監査人の監査の結果を利用すると、主たる監査人自らの監査の質にまでその影響が及び、監査全体の品質が合理的に確保できないことから、他の監査人の品質管理の状況等に基づく信頼性を勘案する意義がある

問2

 専門家としての能力が乏しい場合は、当該専門家の評価結果の信頼性が低下し専門家が会社と利害関係を有する場合、当該専門家の業務の結果は、会社にとって都合の良い結果となりやすく客観性に欠けるため、それらを評価することにより当該専門家を利用するか否かを判断する意義がある。

問3

 専門家の業務を利用した場合も、監査人の責任は軽減されず監査に関する責任は監査人がすべて負うこととなるから、利用する専門家の業務が、監査人の目的に照らして適切であるかを評価し、監査証拠としての十分性、適切性を検討する必要があるためである。

問4

 内部監査は、会社の経営目標の効果的な達成に役立つことを目的とするから内部監査機能を担う内部監査人は、経営者の影響下にあり、職業的専門家である監査人に求められるほどの能力や企業からの独立性がない可能性が高いといった特徴を有する。

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問題3

 他の監査人等を利用するか否かの決定は監査人の判断であるため監査人は、表明した監査意見に単独で責任を負い、無限定意見の監査報告書においては他の監査人等を利用した旨を記載してはならない。監査人が、他の監査人等を利用した旨を監査報告書に記載することは、監査人が意図しないにもかかわらず、監査意見の限定又は責任の分担があると誤解されるおそれがあるからである。

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第2問

問題1

 A社の期末売掛金残高は120万円であり、期末売掛金残高全体2,060百万円の5.82%と売掛金全体に占める割合が低く、また、A社は創業当初からの安定的な取引先であり、質的重要性が高いと判断する特段の理由も存しないため、金額的重要性および質的重要性の観点から、A社を確認状の送付先から外すことについて許容されたこと等が考えられる。
 さらに、A社を確認状の送付先とすることに関して、経営者の同意が得られなかったこと等も理由として挙げられるが、甲社の販売プロセスに関する内部統制は有効に運用されており、月次売上も安定的であることから、出荷書類との突合や翌月の回収状況の検討等の代替的な手続により、A社の期末売掛金残高の実在性に関する十分かつ適切な監査証拠を得られると判断したこと等が考えられる。

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問題2

 B社に対する売掛金残高について、当期の1月以降長期滞留していることから監査上、売掛金の回収可能性について留意する。
 そこで、監査人は、B社の期末売掛金残高の評価の妥当性に関して、会社担当者への質問やB社の直近の決算書等の分析により回収可能性の判断、貸倒引当金の設定の有無及びその金額の適切性を検討することとなる。

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問題3

 甲社製品の需給関係及び価格は安定しており、需要の重要な季節変動はないにもかかわらずC社に対する当期3月の売上高が著しく増加していることから、監査上、押込販売の可能性について留意する。
 そこで、監査人はC社の売上の期間配分の適切性を検証するために、期末日付近の売上取引に関して、注文書、出荷書類、請求書控等の売上関連証憑を入手し売上計上額と照合するともに期末日後の値引や返品等の処理の有無を検証する。

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問題4

 D社は、甲社の創業者一族が支配する会社であることから関連当事者に該当しまた不動産販売売上高は1,290百万円に達している。よって、D社との取引は、年間売上高13,000百万円の業績予測の達成を目的になされた不正な取引である可能性が高いため、重要な虚偽表示リスクの高い項目として評価した。
 また、企業の通常の取引過程から外れた関連当事者との重要な取引となるため、特別な検討を必要とするリスクに該当し、当該取引の事業上の合理性の検討及び取引価格の妥当性を検討するべく個別に対応する実証手続を実施するよう修正を行ったと考えられる。

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上記解答について

※上記解答はクレアール会計士講座が独自に作成したものであり、「公認会計士・監査審査会」が公式に発表したものではございません。ご理解のうえ、ご利用下さい。

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