第59回 税理士試験 試験解答 相続税法
第59回 税理士試験 試験解答
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相続税法
第一問
問1
1配偶者に対する相続税額の軽減
- 適用要件

被相続人(遺贈者を含む。以下同じ)の配偶者がその被相続人から相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ)により財産を取得した場合
- 納付税額

その配偶者については①の金額から②の金額を控除した残額があるときは、その残額をもってその納付すべき相続税額とする。
- の金額が②の金額以下であるときは、その納付すべき相続税額はないものとする。
- その配偶者に係る算出相続税額(贈与税額控除の規定を適用後の金額)
- 次の算式により算出した金額
相続又は遺贈により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額
- (イ)相続税の課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を乗じて得た金額
(その金額が1億6,000万円に満たない場合には1億6,000万円)
- (ロ)
配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額
- 分割されていない財産の取扱い

相続税の申告期限までにその相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括
、受遺者によってまだ分割されていないものは、(2)②(ロ)の課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれない。
ただし、その分割されていない財産が申告期限から3年以内(その期間が経過するまでの間に訴えの提起その他やむを得ない事情がある場合において、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、その財産の分割ができることとなった日の翌日から4月以内)に分割された場合は、この限りでない。
- 手続

この規定は、相続税の期限内申告書期限後申告書及びこれらに係る修正申告書に、この規定の適用を受ける旨及び金額の計算に関する明細を記載し、かつ、財産の取得の状況を証する書類等を添付して、その申告書を提出した場合に限り適用する。なお、宥恕規定がある。
- 隠ぺい又は仮装があった場合

(2)の納税義務者が、その被相続人の配偶者に係る相続税の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装して、相続税の期限内申告書を提出し、又はこれを提出していなかった場合に、調査があったことにより更正又は決定を予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは、(2)の規定の適用については、(2)②(イ)の課税価格の合計額及び(ロ)の課税価格に相当する金額には、その隠ぺいし、又は仮装した事実に基づく金額に相当する金額を含まないものとする。
2 贈与税の配偶者控除
- 適用要件

- 婚姻期間が20年以上
- 居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を取得した者
- その取得した日の属する年の翌年3月15日までにその居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合
- または同日までにその金銭をもって居住用不動産を取得して、これをその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合
- 配偶者控除額

その年分の贈与税については、課税価格から次に掲げる①及び②の金額のうちいずれか低い金額を控除する。
- 2,000万円
- その贈与により取得した居住用不動産の価額に相当する金額とその贈与により取得した金銭のうち居住用不動産の取得に充てられた部分の金額との合計額が2,000万円に満たない場合には、その合計額
- 婚姻期間の判定及び計算

- 婚姻期間が20年以上である配偶者に該当するかの判定は、財産の贈与の時の現況による。
- 婚姻期間は、民法による婚姻の届出があった日からその財産の贈与があった日までの期間により計算する。
- 手続

- 上記の規定は、贈与税の期限内申告書に控除を受ける金額、控除に関する事項及び控除を受けようとする年の前年以前の各年分の贈与税につきこの規定の適用を受けていない旨の記載があること。
- 婚姻期間が20年以上である旨を証明する書類その他一定の書類の添付がある場合に限り適用する。
- 宥恕規定がある。
3 特定贈与財産についての生前贈与加算の不適用
相続又は遺贈により財産を取得した者がその相続の開始前3年以内にその相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、その贈与により取得した財産(その価額がその取得の日の属する年分の贈与税の課税価格計算の基礎に算入されるもの(特定贈与財産及び相続時精算課税適用財産を除く。)に限る。)の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなす。
なお、特定贈与財産とは、贈与税の配偶者控除に規定する婚姻期間が20年以上である配偶者に該当する被相続人からの贈与によりその被相続人の配偶者が取得した贈与税の配偶者控除に規定する居住用不動産又は金銭でその取得の日の属する年分の贈与税につき贈与税の配偶者控除の規定の適用を受けた又は受ける見込みである部分をいう。
4 小規模宅地の特例
相続開始の直前において、その相続に係る被相続人又はその被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族の居住の用に供されていた特例対象宅地等をその被相続人の配偶者が取得した場合においては、その特例対象宅地等については、無条件に特定居住用宅地等に該当することとなる。
問2
(1) 子Yおよび子Zの必要な手続と各人の相続税の課税価格
- 必要な手続(相続税の期限内申告)

相続又は遺贈(その相続に係る被相続人からの相続時精算課税適用財産に係る贈与を含む。以下同じ。)
により財産を取得した者及びその被相続人に係る相続時精算課税適用者は、その被相続人からこれらの事由により財産を取得したすべての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額を超える場合において、その者にかかる相続税の課税価格に係る相続税額(配偶者に対する相続税額の軽減の規定の適用がないものとして計算した金額)があるときは、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内に課税価格、相続税額その他一定の事項を記載した期限内申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
- 子Y及び子Zの課税価格
子Y 3億円×1/2+1億円×1/2-5,000万円×1/2-2,000万円×1/2=1億6,500万円
子Z 3億円×1/2-5,000万円×1/2=1億2,500万円
(2) 遺産分割後の子Yおよび子Zの必要な手続と各人の相続税の課税価格
- 子Yが必要な手続(相続税の修正申告の特則)

相続税の期限内申告書又はその申告書に係る期限後申告書を提出した者(相続税について決定を受けた者を含む。)は、③に規定する自由が生じたため既に確定した相続税額に不足を生じた場合には、修正申告書を提出することができる。
- 子Zが必要な手続(相続税の更正の請求の特則)

相続税又は贈与税について申告書を提出した者又は決定を受けた者は、③に該当する事由によりその申告又は決定に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額(その申告書を提出した後又はその決定を受けた後修正申告書の提出又は更正があった場合には、その修正申告又は更正に係る課税価格及び相続税額又は贈与税額)が過大となったときは、その事由が生じたことを知った日の翌日から4月以内に限り、納税地の所轄税務署長に対し、その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求をすることができる。
- 修正申告及び更正の請求事由

未分割遺産に対する課税の規定により分割されていない財産について民法(寄与分を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って課税価格が計算されていた場合において、その後その財産の分割が行われ、共同相続人又は包括受遺者がその分割により取得した財産に係る課税価格がその相続分又は包括遺贈の割合に従って計算された課税価格と異なることとなったこと。
- 子Y及び子Zの課税価格
子Y 3億円-5,000万円=2億5,000万円
子Z 0円
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第二問
1 相続人等の相続税の課税価格の計算
(1)相続ま遺贈により取得した個々の財産(次の(及び(5)に該当するものを除く。)の価額の計算
(単位:円)
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(2) 相続又は遺贈によるみなし取得財産の価額の計算
(単位:円)
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(3)小規模宅地等の特例及び特定事業用資産の特例の計算
(単位:円)
(4) 課税価格から控除すべき債務及び葬式費用
(単位:円)
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(5) 課税価格に加算する贈与財産(暦年贈与財産)価額の計算
(単位:円)
(6) 相続人等の課税価格の計算
(単位:円)
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2 納付すべき相続税額の計算
(1) 相続税の総額の計算

法定相続人及び法定相続分
(2) 相続人等の納付すべき相続税額の計算
(単位:円)
(注) 相続税額の2割加算及び控除金額の計算過程は、次の(3)に記載する。
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(3) 相続税額の2割加算金額及び控除金額の計算
(単位:円)
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上記解答について
※上記解答は独自に作成されたものであり、公式に発表したものではございません。ご理解のうえ、ご利用下さい。内容は変更する場合があります。
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