平成19年 公認会計士 試験 論文式試験解答

平成24年 公認会計士試験 論文式試験解答 監査論

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監査論

第1問

問題1

精神的独立性:
監査人が監査において常に公正不偏の態度を保持することであり、それは被監査会社その他からの干渉や誘惑を排除し、監査業務に関するあらゆる事項について客観的かつ公正に判断する精神的な態度のことをいう。

外観的独立性:
監査人の精神的な独立を監査人自身の中で確固たるものにするため、公正不偏の態度の保持を揺るがすような関係を排除するとともに、あわせて、その外観から生ずる利害関係者からの監査人の精神的な独立に対する疑念を排除するために、監査人が被監査会社との間に法律上の特定の利害関係はもとより、このような関係を有しているとの疑いを招くような外観を呈しないということを指す。

理由:
外観的独立性は、精神的独立性を具体的に支えるものとして要請されているという関係、すなわち、監査人の公正不偏性に影響を及ぼす要因や可能性を排除することによって精神的独立性の基盤をより強固にするという関係がある。本来的な独立性は精神的独立性であるが、これは外観的に確かめることが不可能であるため、外観的独立性が必要とされる。

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問題2

精神的な独立性を直接確かめることは不可能であるため、外観的な独立性によって間接的に確かめざるをえない。外観的独立性の確保を監査人の自主性のみに委ねるのではなく、法的・制度的にも担保することによって、監査報告書の利用者は、監査人が被監査企業から独立しており、したがって監査判断も客観的に行われていると推定することができ、監査報告書を信頼して利用することが出来る。

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問題3

監査証明業務と特定の非監査証明業務の同時提供を禁止する趣旨は、監査証明業務の信頼性を確保するために、自己監査及び監査人の経営判断への関与を防止することにある。監査人はまず、当該業務が公認会計士法や内閣府令等の法令や日本公認会計士協会の倫理規則等の規則に照らして、問題が生じていないかどうか検討する。次に、当該業務の提供によって生じる独立性に対する阻害要因の重要性の程度を検討し、セーフガードを適用しても許容可能な水準にまで軽減できるかどうかを検討する。これらの検討の結果、同時提供が認められると判断されれば、継続的な報酬を受けて提供することが許容される。

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問題4

指導的機能についての説明:
指導的機能とは、監査の過程で行われる会計処理や財務諸表の作成方法、内部統制システム等に関する助言・指導業務のことを指す。

外観的独立性に抵触するおそれがあるとの見解に対する考え:
監査人が指導的機能を行使するとしても、その指導を受け入れるかどうかはあくまでも経営者が自らの責任の下で決定するものである。経営者が財務諸表の作成者としての責任を適切に認識しており、監査人の指導的機能が二重責任の原則を遵守したうえで行使されているのであれば、いわゆる自己監査には該当せず、外観的独立性に抵触していることにはならないと考えられる。したがって、外観的独立性に抵触することはなく、指導的機能を行使することは認められる。

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第2問

問題1
  • 同一の監査証拠を内部統制監査と財務諸表監査それぞれにおいて利用する等、効果的かつ効率的な監査が実施できなくなるため。
  • 同一の監査チームにおいて監査計画の策定、監査証拠の十分性と適切性に関する判断、監監査手続の実施、意見表明を行うことが効果的かつ効率的な実施に資すると考えられるため。
  • 財務諸表監査と内部統制監査を別々の監査チームで実施すると、内部統制の評価及び監査に係るコスト負担が過大になるため。

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問題2
問1

【20X2年3月期】評価対象としないことができる事業拠点:B,C,D支店
要件又は理由:

B支店は、①前年度に評価範囲に入っており、前年度の内部統制の評価結果が有効であり、②B支店の内部統制の整備状況に重要な変更がなく、かつ③全社的な内部統制の評価が有効であるため。C,D支店は、これらを評価対象に含めなくても売上高の概ね3分の2程度に達するため。

【20X3年3月期】評価対象としないことができる事業拠点:C,D支店
要件又は理由:

B支店は、開示すべき重要な不備が新たに発見されたため、評価対象に含めなければならない。C、D支店は、これらを評価対象に含めなくても売上高の概ね3分の2程度に達するため、20×3年3月期も評価対象としないことができる。

問2

監査人はまず、内部統制に新たな機能が追加されたB支店が評価対象に含められているかどうかを考慮すべきである。さらに、他の事業拠点でB支店と同様の売上システムが使用されているかどうかを確認し、使用されている場合には当該事業拠点を評価対象に新たに追加する必要性の有無を考慮すべきである。

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問題3
問1

B支店の販売プロセスで計上された売上取引について、監査人が内部統制の運用評価手続を実施せずに強力な実証手続を実施し、かつ経営者側が必要な修正をすべて行って、財務諸表に反映させたような状況が想定される。

問2

<経営者が開示すべき重要な不備と判断した場合>
経営者が内部統制報告書において財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備がある旨及びそれが是正されない理由を記載しており、監査人が、当該記載が適正であると判断したような状況が想定される。

<経営者が開示すべき重要な不備と判断しなかった場合>
監査人が売上架空計上額の金額、発生可能性及び当該不備が財務報告に及ぼす潜在的な影響額を検討し、その結果、質的又は金額的な重要性がないと判断したような状況が想定される。

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問題4
  • 経営者が、新たな機能を追加した内部統制を評価範囲に含めているかどうかを検討する。
  • 質問やウオークスルー等により、売上システムに追加された新たな内部統制の機能やシステム変更の内容を理解するとともに、業務プロセスに係る内部統制の整備状況、及び運用状況の検討を行う。
  • 開示すべき重要な不備の是正状況を適時に確認し、是正結果を取締役会及び監査役(監査委員会)に報告する。

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上記解答について

※上記解答は独自に作成されたものであり、「公認会計士・監査審査会」が公式に発表したものではございません。ご理解のうえ、ご利用下さい。

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